転職を分かりやすく表現してみよう
かつてあれほどマスコミの集中砲火を浴びたのに、最近は、アウトプレイスメントが日本に上陸するのも、当たり前のように見られている。
こうして日本でもこれからようやく人材の本格流動化の時代に入ってくる。
人材流動化、あるいは人材市場の自由化のひとつのあらわれとして、ヘッドハンターの活躍が注目されている。
一方で忠誠心の希薄化もすすんでいる。
日本の企業社会で企業忠誠心のコアを形成していた、つまり忠誠心がいちばん高いと見られていた課長クラスでも、条件さえよければ会社を変わっていいという人が過半数を占めるようになっている。
仕事柄ヘッドハンターとよく世間話をするが、たいていの人は、この二、三年でがらっと事情が変わってきているという。
昔ならヘッドハンターがスカウトしたい人材に、電話でともかく一度会いたいと申し入れでも、話を最後まで聞かないでガチャーンと切ってしまう人が多かったが、いまは、一〇人中八人が会ってくれるそうである。
転職しない人でもいま自分の値段がいくらぐらいかは知りたい、ヘッドハンターとはなんだということも知りたい、ヘッドハンターが自分に声をかけてくれたのは非常に光栄だというふうにサラリーマンも前向きに考えるようになってきた。
会社を変わることに対するこだわりや心理的な抵抗感がだんだんなくなってきている。
東京がニューヨーク、ロンドンとならぶ世界の金融市場になって、このところ外国系の証券会社、銀行のファンド・マネージャーとか、為替のディーラーの引き抜きが激しい。
年収二〇〇〇万とか四〇〇〇万とか、はては一億という声も出てきている。
チャンス到来と、どんどん転職していく金融のスペシャリストがいる。
オイルショック以降、コンピュータ、バイオ、新素材、ロボットなどハイテク関係の技術者中心に始まった人材流動の動きが、いまようやく金融スペシャリストに波及してきているが、ヘッドハンターにいわせると、これからの狙い目はマーケティング・スペシャリストや営業のマネージャークラスであり、また海外経験の豊かなベテラン社員もノドから手が出るほど欲しいといっている。
いずれにせよこうした人材流動の動きは、今後さらにはげしくなるものと思われる。
情報化社会というものはもともとそういうものである。
人が情報をもっている。
技術を、ソフトを、人脈を、知恵をもっている。
最近の動きでことに興味深いのは、M銀行が中途採用に一気に踏み切ったことである。
世間では年功序列と終身雇用の純血経営は財閥系の銀行に最後まで残るだろうと見られていた。
学者もエコノミストもそう予想したし、われわれもそう見ていた。
ところが、そういうところが早々と、中途採用に踏み切ったのである。
それだけ環境変化の動きが早いともいえるが、ともかくこの波及効果は相当大きい。
古いタイプの人事担当者などに聞くと、日本の企業社会は横並びだから変化に対する動きは非常に鈍いとたいていいっている。
つまり、どこかがやって成功しないと、それを見習おうとする動きはあらわれないというわけである。
しかし考えてみれば、横並びだから変化に対する動きが鈍いということは、逆にいえばそれだけ早いということでもある。
何かのきっかけで、パスに乗りおくれるなとばかりに一気にかけ出すということでもある。
アウトプレイスメントが三三年前に「肩叩き専門会社だ」「クビ切りを商売にするなんて:::」と、あれだけマスコミに叩かれながら、いまはもう騒がれないようになったし、ヘッドハンターのような人の売買業などという日本の社会にはなじまない、日本のサラリーマンはアメリカと違って自分から喜び勇んで転職などしないからといわれながら、いまこうしてスカウト商売が儲かるようになってきている。
いい意味でも悪い意味でも、日本人ほど時流に敏感な国民はあるまい。
世の中が変わったとなると、頭の切り替えもきわめて早い。
明治維新のときもそうである。
泰平の世の中がそう簡単に変わるわけがないと思われていたのに、黒船の到来で世の中がひっくり返ったような大騒ぎになり、一気に変わっていった。
第二次大戦が終わったら、世の中変わった、頭の切り替えが大事だというわけで、軍国主義者まで皆にわか民主主義者に化けた。
日本は横並びだから、変化に対する変わり身は遅いが、本当に変わる、もう変わらざるをえない、とわかったら今度はわれもわれもとかけ出していく。
だからサラリーマンも企業の経営者も人事担当者も企業も、現下の経済環境の激変を甘くみではならない。
Oさんは、むしろ日本の企業にはドライで打算的なところがあるといっている。
ともあれ、これから人材流動の動きはますます増えていく。
もっとも、いま転職ブームといわれながら、実際の転職者は少ないという芳ータもあるが、しかしこれは当然であろう。
周知のように景気は悪いし、転職のタイミングとしてもいまが最悪だからである。
むしろそういうことよりも重要なことは、一社一心の忠誠心が崩れ、サラリーマンの転職志向が増えつづけているというこの事実である。
いわば古い忠誠心から新しい忠誠心への転換期である。
特にこれから若い人、いま三十代の下の人にとっては、将来、退職金も年金も危ない、終身雇用も年功序列も崩れるとしたら、会社の中に生涯いるメリットは昔ほど多くないのである。
その面からも労働の意識が多様化してきている。
求められる本当の人材たまたま一年ほど前、私は人材流動の動きを追跡してみたことがあった。
中途採用をしている企業を回っていて、そこでかならずといっていいほどいわれたのは、「中途採用は円満退社を原則とします」ということである。
その気持ちはよくわかるが、しかしこれは現実問題としてやはりおかしい。
私など、「だって円満退社できるような人なんて、人材じゃないでしょう」と先方に水をぶっかけてみる。
相手は返事に困っている。
ということは、つまりいまの経営者も人事の担当者も、これから相当ドライな人材のスカウト合戦が始まることを覚悟しているということである。
やはり本当に欲しいのはライバル企業あたりの本当の人材である。
やめられては絶対に困る人材である。
円満退社を条件としたM銀行の中途採用が、目標に達しなかったのもそのためである。
もっとも、この中途採用や引き抜きには、大きく分けて二つのパターンがある。
ひとつは、たとえば技術者の場合、新製品を進めていく場合に、自分の会社に抱えている技術者だけではできない部分の技術者をスカウトする、補強するケースである。
この場合はまあトラブルなどはほとんど起こらない。
Cでいえば、Cがファクシミリをやるときに、Cには複写の技術はあっても、通信技術がない。
通信技術がないからやらないのではなくて通信技術者をほかから引き抜いてきたらやれるから、Cはそういう技術者を新聞などで公募するか、しかるべきところから、直接交渉でもらい受けることもできる。
ところが、もっとクリエイティブな部分、独創的な部分、あるいは技術競争が最も過激なところに関しては、そうもいかない。
先端のクリエイティブな仕事をできる研究者、一流のソフト技術者の数など知れている。
これは相当激しい引き抜き合戦にならざるを得ない。
お手軽な価格が魅力の転職です。サルでもわかる転職です。
転職情報をお探しですか?転職に有効な成分の紹介です。
転職対策にお困りですか?転職のユーザーの声が届いています。
